<五十八たちはゆりとともに警察に行くことになった。すみれも同行したいが、大事な開店初日だろうと五十八に止められる。
店には派手な様子の女性と連れの米兵が入ってくる。あいさつしかけて固まってしまう良子。逃げるように帰る商店の女性達。
だが派手な女性は肌着を手にとって、気に入った様子。そして値段を聞き、100円と言われると
「やっす!」
といってたくさん買ってくれる。
彼らが去ってから、良子の態度に苦言を呈する明美。ああいう人苦手、という良子に、これだからお嬢様は嫌だ、と不快感をあらわにする明美、もちろん良子も面白くない顔。
警察で、五十八に初めて会って感激する栄輔。潔と一緒にかつての得意先を回る度に、五十八に感謝している人々の声を聞いていたのだ。
潔は無事釈放されたが、ゆりと潔の行く末には不安を覚える五十八。
闇市に帰ると、店は荒らされていた。やってきてしらばっくれている元締め一派につかみかかろうとする栄輔をとどめ、場所代を支払う潔。
元締め一派は向かいに野菜などを広げていた人たちにも場所代を強要する。それを見て、うちにおいてやる約束になっていたのだ、うちはもう払ったからいいだろう、と助け船を出す潔。元締め達が去ってから、ほんとうにうちの店に置いてやる、良い野菜だから高く売れる、と言う潔に感謝する野菜売りの人々。その様子を見て少し安心した顔になる五十八。
明美は勤務先の病院から解雇を告げられた。戦地に行っていた看護婦達が帰ってくるので、独り身でまだ若い明美は解雇対象となってしまったのである。
民江は、自分が元住んでいた屋敷に今住んでいる米人夫妻からホームパーティのためにとテーブルクロスの注文を受けた。詳細についてもう少し夫人と話したいが言葉が…という民江に、明美に手伝ってもらおう、とすみれ。だが良子はいい顔をしない。明美の言うことは間違っていないと思う、という民江に対しても不満顔。
その明美は、解雇されてしまったことで、病院の外で「なんで私が…」と呆然と座っている。
すみれたちは、なかなかやってこない明美を案じている>
闇市とかの元締めという存在はどうやって成立したんだろう。その土地をもともと持っていたということ?というよりはやはり、暴力で言うことを聞かせ続けた結果なんだろうか。警察はむしろ元締めをこそ取り締まるべきだと思うが、どうせ金を握らされて見て見ぬふりなんだろうな。暴力的にでも最初に金をむしり取ったものが、結局はあとあとも有利になる。今回の潔の突然の逮捕だって、元締め達が裏で糸を引いていたのだろうし。
話は飛ぶが、金を持っているものは政治家になってはいけない、というムヒカ元大統領の話には強く共感するものの、すでに金を持っているものが政治の中枢にいるわけで、彼らが「金持ちが政治家にならない」ような政策をするはずもなく。その点についてはなにか絶望感のようなものが生まれてしまう。
有権者の方が、金持ちの候補者に投票しなければいいのだろうが、金を持っているものはそのあたりすら介入できてしまうんだよね。会社つとめの人間は、会社で言われた人にしか入れられない。そんなもの、実際の投票行動、投票結果まで見張れるはずもないんだからどうにでもできそうに思うけど、会社そのものがたちゆかなくなればその人の生活もあぶなくなるから、そうもいかないんだろう。
かくて、戦後の荒野でも、暴力を持ってでも、ずるをしてでも、うまく立ち回ったものが勝つ。空しくなるな。
けれど五十八にしろ潔にしろ、その対極を目指しているのだ。まずお金ありきではない、人と人との信頼をこそ財産にしようという態度。それこそが最終的には「勝つ!」のだということを見せてくれるのなら嬉しい。
米兵にくっついて派手な様子でいる女性も、言ってみれば「うまく立ち回った」側に見えるのだが、彼女たちはずるをしたわけではないだろう。たぶん彼女たちは、プライドを捨て、あるいは一時的にわきにのけて、生きるために必死なのだ。でも、商店の女性達が10円出すにも躊躇する中、100円に「やっす!」と言えてしまうのはね…。まあそういう人がいてくれるから商売がなりたつわけだけども。
お金を持っているのものが政治家になってはいけない、ということはともかく、お金のために政治をやってはいけないとは強く思います。(持っているかどうかは比較の問題ではないかなー)
生地ひとつでワクワクする気持ち、わかりますー。
進駐軍の一部や、某隣国の人間の中には、一般店舗ではない場所の売り物を奪ったり、道を歩く女性に手を出そうとしたりというような傍若無人な振る舞いをする者がおり、彼らに対して日本の警察はまったく見てみぬふりをしていた。それを「闇市は俺が守る」的に身体を張って守る(外国人からも警察からも)代わりに、場所代を徴収していた、という側面もあるということです。だから、あの場所には警察は基本的にはあまり足を入れなかったし、闇市の元締めからの通報でもなければ、そこの人間を捕まえることもしなかった。そもそも自分達も闇市の食べ物を手に入れなければ餓死していたわけで、闇市そのものの取り締まりもゆるくせざるを得なかったのです。
闇市に売りに来ていた人達も、逆を言えば他の道端等で商品を売るよりもあの場で売ったほうが「安全」であるからこそ売りに来たわけで。全く無料で守ってもらえると思うのも少々虫の良い話なのですが、このドラマでは闇市の元締めをヒールとして描いたほうが都合が良いということなのでしょうね。