2011年02月12日

【てっぱん】第115話 執着を離れると、在るべきものがやってくる #nhk #teppan #drama

なんかすごい…。いろいろと。

<絵を描くのに根を詰めているらしい笹井を気遣う初音。だがあかりは、乗っているときはとまらないですよねと共感を示し、自分も橘のトランペット演奏を聴いて刺激されて、久しぶりに2時間も吹いた、と話す。それを聞いて複雑な顔になる初音。

そのとき民男と徹が駆け込んでくる。
「笹井のおっちゃん!見っかってん!絵が!」
風呂屋の近所の溝に落ちていた、と徹。手渡されたケースを開けながら
「お父さん!!私の、お父さんの絵です!お、お父さんが、帰ってきました!!」
この上なく嬉しそうな笹井。

これからのぞみの戌の日参りに行くと電話で真知子に報告しているあかり。のぞみが真知子の贈った腹帯を締めてくれるとも伝えると、真知子も嬉しそうである。

その腹帯をのぞみに締めてやるのは初音だ。
「なれてらっしゃるんですね」
「文乃さんが生きてはったら、同じことしてあげたわ」
「…千春さんは…どうされたんでしょうね」
「………」

あかりたちが出かけて行ってから、橘が訪ねてくる。

座卓を挟んで相対して座る2人。
「あんさんが千春とお知り合いかもしれんと聞きましてな…」
「……はい」
「全部お話しして頂けませんやろか」
「……はい。千春さんとは音楽サークルで知り合いました。僕が、トランペットを教えていたんです」
「………」
「若くても、心から尊敬できる女性でした。意志が強く、いつも凛としていて…」
なにも言わずにじっと聞いている初音。
「…ある日、彼女が家を出てきた、と僕の部屋へやってきました…」
「…うちを出て行ったとき…」
「あんな頼りなげな千春さんは初めてでした。…この人を、一生守りたい。ずっと一緒にいたい。そう…思いました。…それから2年ほどして、ボストンの音楽院に留学しないかと声がかかりました。音楽家として成長するにはまたとないチャンスだったんです。…アメリカへは、千春さんと一緒に行くつもりでした。もちろん、お母さんの許しをもらって。でも…彼女の答えは、ノーでした。僕に…別れてくれと…」
「あの子が?」
「…自分の道を探していたんだと思います。結局、僕は日本を離れ、それっきりです。きっとどこかで…幸せに暮らしているとばかり…」
「それやったら、何で今頃ここに現れましたんや!」
「偶然です。まさかあの店がちはるだったとは」
「せやったら、孫のことは?」
「……知りませんでした…」
「………」
うなだれる初音。

初音は橘に雑誌の記事を店ながら
「アメリカへ渡ったんは、90年やそうですな?…ちょうど孫が生まれた年です。うちがお聞きしたいこと、分かってますか?」
「………」
無言でうなづく橘。
「孫は…千春と…あんさんの子、……ですんか? …そうですんか?!」
「申し訳ありません」
頭を下げる橘。
「何の……詫びですねん?…孫のことは、詫びなあかんことなんですか?」
橘は一瞬顔を上げ、そして再び、さらに深く頭を下げて
「…申し訳ありません!…」
顔が曇る初音。苦渋の表情。

お参りから帰ってくるあかりとのぞみ。お参りに行って良かったでしょう、というあかりに、相変わらず無愛想に「別に〜」とのぞみ。
だがそのとき
「あ…」
と立ち止まる。
「どしたんですか」
「……蹴っ……た…?」
あかりの手を取って自分のお腹に当てるのぞみ。
「……。ほんとじゃ!動いとる!のぞみさん!お祝いしましょう!」
駆け出すあかり。

そして「ただいまーー!」と興奮した声で田中莊の戸を開ける。
はっとして慌てる初音と橘。だがあかりはそのままドタドタと2階へ上がっていった。

「孫です」
「僕に、できる限りのことは!」
「……ほなひとつだけお約束を」

「おばあちゃんおるー!?」
あかりが子供のようにおおはしゃぎで初音のところにやってきて、「まるちゃん」が動いたと報告。そしてこれからお祝いに行くとバタバタ出て行ってしまう。トランペットを持っている。テントウムシのマスコットが大写しになる。

別室で隠れるように座っている橘。その橘に向かってふすま越しに
「よろしいな。あの子に、父親と名乗ることは、遠慮してもらいまっせ」
「………はい……」
大きなお腹を抱えた写真の千春を見つめ、唇をかむ橘。
初音も顔を歪めて、今にも泣きそうな顔。

お腹を愛しそうにさする望みの前で、トランペットで「上を向いて歩こう」を吹いているあかり。通りかかる橘。外からあかりの姿を見つめ、その姿に、千春の姿を重ね合わせる。飛行機の音。上を向き、静かに涙をこぼす橘。

初音は村上家に電話をする。はじめ錠が出たが、初音は頼んで真知子に代わってもらう。

真知子の顔色が変わる。
「え…?」
その真知子を見る錠>

まさに物語は佳境、ですね。

あまなっとうさんとは逆に、私は笹井のおっちゃんの絵は見つからなくてもいいと思っていた。「もの」に左右されない、ってことなんだから。
でも、やっぱり戻ってきて良かったね、と思う。
それにむりくり(?)教訓的に(?)考えても、つまり、「執着を離れると、手に入る」ってことだとも思った。どうしてもそれがなければ!と思い込んでいるうちは手に入らない。手に入っても、「失う怖れ」に苦しむことになる。人でもモノでも事柄や状況でも同じだろう。希望や期待や夢を持つことと、執着することは似て非なること。その対象について、ネガティブな気持ち(「失う怖れ」もその一つ)を持つとそれは離れてしまう。それを「想った」ときに嬉しく楽しく幸せな気持ちになれる、ならそれはそこにある…いかなる形をとっても。
笹井さんはやっとその絵への執着から離れて自由になり、そのことを想っても辛くなくなった。だからこそそれが戻ってきたのだ。

それにしても橘さん。

これは現時点では単なる妄想に過ぎないが、千春さんは
「自分の道を探していたのでしょう」
と言った。けれど、まあそれは嘘ではないにしても、彼女は実は、「身を引いた」のではなかろうかともやはり思う。前途ある音楽家にとって、自分が(もしかすると妊娠を自分で知っていたかもしれない)足手まといになるだろう、と。あるいは「足手まとい」とかではなく、その他の思惑からだったかもしれないが(自分の音楽に対するスタンスのこととか)、ともあれ、相手のことを考えて自分が身を引いた、というのはきっとある。しかもそれを相手の負担にならぬよう、自分は自分の道を行きたいのだ、などとさも自分のワガママのように装ったのかも。橘さんはそれを真に受けて、千春の心が離れたのかと思って諦めたのかも。

で、さらに妄想すると、のぞみさんもこれと同じ構図ってこともありうるかも。つまりのぞみさんは、前にも書いたが、家庭的な女性がいいと相手が望んでいる(と思い込んで)、相手のために身を引いた。相手のために、ことさら冷たい態度をとって、相手に吹っ切らせた…つもりでいる、のかも。
だとしたらしつこく、その相手との「復活」もありうるとは思う。千春と橘とあかりの姿が、ある意味での反面教師となってのぞみを翻意させる可能性も。

真知子さんが金曜日の放送で言っていた、男はいらない的発言も、本音の本音ではないと思う。いわゆる「完全な形」でない家族が、そのことで負い目を持たないようにとの発言ではないか。みなそれぞれに事情がある。男の方だって、必ずしも単に「無責任」だったのではないかもしれない。そこで久太さんたちが無責任じゃと断罪していたからこそ、ああ言ったのだと思う。
実際男が本当に単なる「無責任」だったのだとしても、たしかに女が産むと決めれば、少なくとも気持ちは子供に集中させることができる。
「お父さんがいないなんて可哀想」
とか
「だんなさんがいなくて大変ね」
とかいう、周囲の、それこそ「無責任」な同情にくじけなければ。
もちろん、周囲の「手助け」は必要だ。いわゆる「普通の」、「完全な」形でないから何かが欠けている、と考えるのではなく、実際具体的に、こういうときに手助けがあったらいいだろう、と考えて助けるのがいいはずだ。すでに女親のいないのぞみに腹帯を贈ってあげるとかね。

初音さんもそうであったことがこの間明かされたばかりだが、真知子さんもあるいは早くに両親を亡くしたのかもしれない。錠さんもそうかも。村上家の祖父母の存在がないのが不自然とかいう声が初期の頃しばしばツイッター上などで言われていたが、そんな状況はいくらだってあり得る。真知子さんも両親を亡くして心細い状態で結婚したり子供を産んだりしたのかもしれない。だからのぞみの心細さが分かる。腹帯を贈ったりしたときも、夫がいないからということより、母親もお姑さんもいないから、と言っていたしね。

そしてまた、初音が橘に言った、父親の名乗りを上げるなという宣言も、おそらくそのままではあるまいし、それに初音がそう言った心境も必ずしも「賢人」のそれではなかろう。今は自分がこの上なく動揺しているのだ。そして今は、せっかく落ち着いて明るく楽しく過ごしているあかりを動揺させたくないという一心なのだ。

でも、父親のことを知りたいという気持ちをとりあえず「手放して」、落ち着いて明るく過ごしているあかりにだからこそ、「お父さん」がやってきた、のではないか。笹井さんの絵のことと同じ構造、つまり笹井さんのエピはそれを象徴させているのではないか。

それにしても錠父ちゃんの気持ちも気になるな。来週は目が離せない。すごいなこのドラマ。


posted by おーゆみこ at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | てっぱん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あぁ〜書き込むのもう1日待てばよかったと思った土曜日。土曜まで見ないとわかりませんもんね…;
笹井さんのお父さんの絵、戻ってきて良かった!笹井さんもそうだけど、あかりちゃんや、民男くんの為にも戻ってきて嬉しかったです!
私評(&皆様のつっこみ)を読んで、なるほど…、そういう考え方もあるのか、と気付かされる毎日。サラッとドラマを見ているだけでは通り過ぎる事が沢山です。

確かに、このドラマ「やりっ放し」にはしてないですよね。「まるちゃん」のお父さんの事もいつかなんらかの形で答え(って言い方は変ですが;)が出るといいなぁ…



Posted by あまなっとう at 2011年02月13日 23:19
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