2010年10月02日

第6話 いけずでピカソなドラマ

土曜日は朝余裕がなくてドラマを見られず、そのまま帰宅も夜になるためいつもたいがい更新できませんスミマセン。

でもアリバイ的にちょっとだけ書く。

やっぱり「突っ込みどころ満載」なのだが…一度も音出してない楽器だし、一度も試しに合わせてみてもいないバンドだし、ちらっとしか見てない楽譜だし…なのにいきなりステージでソロで、しかも楽譜ほっぽり出して前に出てキレイにフィニッシュって、そりゃありえないともさ。

でもやっぱりこのドラマは、そういうところは「いいことにする」ものなのだ。まあ、これまでにも百万回書いたが、ピカソのようなもんで、「デッサン狂ってる!」けど、それはそれ、なのである。デッサン狂わせてでも伝えたいものがあるのだ、と納得できる。写実画が好きな人(優劣とかではとりあえずなく、好みとして)には受け入れにくいかもしれないが。
大阪制作のドラマにはそういうのが多いような気がするなあ。写実的なんてのはくそ食らえ。でも伝えたいものにブレはない。

****

また逢う日まで

別れの そのわけは 話したくない

たがいに傷つき なにかをなくすから

「また逢う日まで」はもちろん知っているが、考えてみるとその歌詞についてあまり気にしたことがなかった。互いに傷つけあわないために別れのわけを話さずに別れゆく人々だったのだ。そして「ふたりで」ドアを閉める。
互いに納得しないままに、それでも一方的にどちらかが去ってしまうのではなく、少なくとも形だけでも、「ふたりで」幕を引く。憎み合ったりしてもう二度と会わないのではなく、またいつか違う文脈の中で会えるのかもしれない、という含みを持たせて。それぞれが前を向いて歩き続けるために、別れる。

千春が初音のもとを去ったとき、初音はまさか二度と会えないなどとは思わなかっただろう。しかし実際に千春は亡くなってしまっていた。自分の心をぐしゃぐしゃにしないよう、初音は鎧を脱がない。だが、心の底でどれだけ自分を責めているだろうか。
だがあかりがやってきて千春のトランペットを吹く。
写真しかないが、千春とあかりはやはりなんとなく顔が似ているように思える(ってもしかして写真の千春とあかりの役者が同じとか…?)。
初音はまだ気づいていないが、また「逢えた」のである。

このドラマがいいドラマな予感がするのは、あかりを主人公にしてその「成長」を描いているように見えて、そのじつ、初音の心の底のかなしみにこそ焦点があっているように感じられるところだ。

これまでのところ、このドラマはいささか不親切なくらいに、視聴者を突き放しているようにも思える。痒いところに手が届くように世話焼いてくれない。「ほれ」とばかりにいろいろなものを放り投げてよこす。…という印象がある。それこそが興味深い。受け身的に座って見ていると、ときどき優しく撫でてくれたりした(という印象の)前作とは打ってかわって、見ている側もくらいついて、自力でくっついていかなければならない、という感じである。…って具体的に説明できないけど、私の直観的な印象。
(やっぱり「朝ドラ」としてはウケないんじゃないかなあと思ってしまうが…)
初音ばあちゃんのように「いけず」なのである。






posted by おーゆみこ at 00:00| Comment(6) | TrackBack(0) | てっぱん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
一見ありえない。でもつじつま合わせに時間を割いたら伝えたいものが薄まってしまうという確信犯だと思ってます。トゲのある発言となりお許し願いたいのですが、製作陣の全員とまで言わないまでも、何人かに一歩突き抜けた宗教観、哲学を持っていらっしゃる方がいると勝手に感じています。人気ドラマ「JIN」のラストでも強烈に感じ脚本家の経歴を調べ納得した覚えがあります(関係ない話でごめんなさい)。このフィルターがあるとないとで、この物語は全く違う色に見えると思います。

芋たこでは踏み込まなかったけれど、田辺聖子さんのご主人、子供は嫌いと公言してはばからなかった、同じ匂いを初音に感じるのです。子供にも人格を求め、成熟してから来いと、ある意味ネコかわいがりを愛として溺れるのでなく、もっと上の次元で対峙しようという気概のようなもの。血を第一義としてそれ以外に目が向かない自己愛レベルの家族愛でなく、あかりが許可をもとめて思わず電話する尾道の家族のような魂のよりどころになっていく物語では。でもとても高いハードルで、成功は至難のわざだと思っています。

BSで改めて一週間分俳優さんたちの演技を通して見て、お一人お一人の解釈の深さに感動しました。
Posted by いとぱん at 2010年10月03日 08:30
一度も音は出してないけど、綺麗に手入れをして息を吹き込んだ楽器なら、吹けないことはないし、音を合わせてないバンドでも、初見でも、ナツメロの定番ともいえる「また逢う日まで」なら、しかも、メロディラインの演奏なら、どこかで聞いたことのある可能性が高いから演奏できないとは限らないし、あかりが前に出てきたのは、ちょうど前にそのサビを一度演奏したあとだったから、繰り返すだけだし・・・・・くらいの言い訳(?)が用意されているところがますますイケズなドラマですね。(^-^;)

ところで、あかりが初めて見た「大阪のお好み焼き」、マズそう、大阪ではありえないの書き込みがあちこちでありました。ところが、このお好み焼きの指導をされた佐竹佐知子さんは、にっぽんお好み焼き協会の会長さん。無意味に「マズそうな」お好み焼きを映像に流したとは思えないのです。
だとしたら、どうして???
(正直、関東人の目で見ても、美味しそうではなかったです。)
イケズの謎はますます深まります。
Posted by 桜路@ありえないようで、あり得る? at 2010年10月03日 10:31
「また逢う日まで」、そういえば阿久悠さんが後付けで詩を書いたんでしたね。実はずっと長い間、逆だと思い込んでいて、この重たい内容の詩にこれほどのパワフルな曲を書いたなぁ、と...
いずれにしても(?)、多くの人が(詩の内容まで踏み込んでは考えなかったかもしれないけれど)、曲のタイトルに反して「新しい出会い」の歌と受け止め、愛唱してきたと思うんです。
今回、このシーンで取り上げられたのは、よく知られた曲で演奏効果も高いというのもあるけど、そういったメッセージも(勝手に)受け取ってしまい、うるうるものだった次第です。

選曲の経緯については、美織さんの師匠がtwitterで書いた後、ブログで紹介していました。
http://sh0co.blog83.fc2.com/blog-entry-443.html

あ、それと、「散髪しようね」ってなに?と最初思ったのですが、シーンを見ていてこれも素敵な思いつきと理解し直しました。
家族間での散髪はやったこともされたこともないんですが(^_^;、一種スキンシップでもあり、待つ時間ずっと、心を静める(しかない(^_^;))ことで余計なことを考えずにすむんだなぁ、と。
Posted by at 2010年10月04日 01:00
久しぶりの書き込みです。「てっぱん」も毎日なんとなく引き込まれて観ています。

私事ながら前作の「ゲゲゲの女房」後半は、自分の義父の看病と葬儀に重なって、時間的にも観られなかったり、思い出し泣きしてしまったり…どこか視点が変わってしまった気がします。
ですから「てっぱん」が始まって、気持ちも心機一転というか、そんな感じでみています。

土曜日のスタジオパークは、主人公の村上あかりを演じている女優さんがゲストだったので観ました。役柄とご本人とが、けっこう似ていると思いました。どこか抜けている(失礼!)様に見えながらも、芯は強いというか… 

おーゆみこさんの初音に対する考察には、頷きっぱなしです。食事のシーンで、多分娘:千春が好物だったのであろう丼を、孫:あかりが同じように目を輝かせて食べる姿に、思わず微笑んでしまう…そんなことを連想しました。きっと何か語るとボロボロと崩れそうな初音が、私にはベッチャー(=鬼?)には感じられません。

また、ポツポツと書き込みに参加したいと思いますので宜しくお願いいたします。
Posted by LIMIT at 2010年10月04日 10:02
連日連投ごめんなさい。

そうそう土スタ、「やばい」の連発とか、後で事務所で怒られてたでしょうねぇ。(^_^;
ビビる大木もあんまりフォローになってなかったし、後半ぐだぐだ状態の生放送で(録画見てですが)大笑いでした。
でも、なにしろ、いまどきの子ではあるけど、きちんとした育てられ方(育ち方)をした人なんだなぁと、瀧本美織を初めて知ってからたった一週間ですが、思ったりしています。
それが「あかり」という役柄にもぴったりしているなとも。
Posted by at 2010年10月04日 10:36
私にとっては心の琴線に触れるあったかい物語。でも許せないほど駄目な人もいる。自分にとってあたりまえの感想が誰かの心の地雷を踏むことにもなる。思わぬ形で傷付けてしまう。ネットにつきもので、だから長らく踏み込まなかったのに、あまりに感動があふれてつい夢中になってしまいました。そしたら周りの温度差にびっくり。

当然のことなのに。いろんな見方、価値観がありますよね。やっぱり、自分の理屈に足をすくわれっぱなしなのかな。

ここにコメントを寄せる方々、あったかくて自分にとって発見の多い見方をする方々がたくさんいらして、叶わぬことだけどお会いしてみたいななんて思いました。

感動を見知らぬ人に押し付けないよう、楽しみに、静かに、見て行こうかな。
Posted by いとぱん at 2010年10月04日 12:40
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