2010年09月28日

第2話 「健康」な家族 #teppan #nhk #drama

この演出はかなり好きだった。
あの写真だけで、「この家の子じゃない?」といきなり分かるってのには、違和感がなくもないが。これまで何か疑うようなことがあったというならともかく、そんなことミジンも思わなかっただろうしね。
でも写真の日付と自分の誕生日、妊娠しているのがどちらかというのは写真から明らかで、冷静に考えられるならたしかに、一気に結びついてしまうことではある。ヒロインあかりを含め、この一家は精神的に「きわめて健康」であるから、ここまで唐突な驚くべきことであっても、一瞬のうちに真実を見抜き、そして考え得る限りのもっとも適切なリアクションをするのだ、と感じた。

一番大きなショックであるはずのあかり自身が、ある意味でショックが大きすぎて現実味がないのかもしれないが、ともあれミモフタもなく取り乱したりはせず…いや、取り乱したかもしれないがくずおれたりはせず、言われた通り布団を運んで敷いてやったりしている。
長兄欽也は欽也で、なんとか自分のできる範囲で場を取り繕おうと気を遣うのが、この場合決して嫌みじゃない。その取り繕いももはや効力がないと悟って制する錠、なにはともあれ初音を留めようとする真知子、彼らもそれぞれが「健康」だという印象だ。
もちろん、あかりを思いやってあかり以上にショックを受ける鉄平もまた健康だ。だが彼が「あかりがかわいそうだ」と言っても「なにがかわいそうだ」と反論し、私が育てた子だから大丈夫、と断言する真知子はすばらしい。
そうそう、ここで、「いままで心配してた通り」鉄平が一番パニクっとると言う欽也も、さりげないが良かった。このきょうだいたちがいかに互いを良く分かりあっているかということだ。

きょうの演出の素晴らしいところは、この全体から、
「血が繋がってない親子だからって、それが何?」
という意識が伝わってくるところだ。それをうわっつらの言葉で言うのじゃなく、ドラマの成り行きや演出で示している。そんなん、たいしたことじゃないんだ。

実際、「たいしたことない」はずなのだ。
そもそも、何が変わるというのだ? それこそ「知らぬが仏」で、これまで普通に暮らしてきたことが、「知ってしまった」だけで変わるというほうがおかしいのだ。血のつながりは重要かもしれないし、「生物としての」人間は、ことによったら本能的に、血のつながりのあるなしで何か決定的な違いを感じ取るのかもしれない。だが、人間にはそれ以上に大切なことがある。「心で繋がる」ことこそが、血のつながりなんぞよりはるかに重要なことだと思う。
「血のつながりが重要」
とか
「実の親じゃないなんてかわいそう」
なんて「考え」も、ある意味では人間ならではのものであるが、人間はつまりそういうところを、心や頭で考えて判断して、それこそ「幸」「不幸」を決めるわけである。
それを自分で取捨選択できるのが人間の素晴らしいところだ。出生のヒミツ、なんていう「運命」にいちいち煩わされる必要は、ない、そんなことを選ばなくていいのである。

なんとなく決まり悪げに、ぽんと自分の胸を叩いて
「田中…初音!…67!」
と自己紹介(?)する初音ばあちゃんの、不器用さが可愛い。
おばあちゃんとかおじいちゃんとかいうのはたいがいの場合朝ドラでは、人生を達観した老賢人という立場だと思うが、そうでないのもいい。

あほったれ!と叩きながらトランペットケースを抱きしめて、幼子を揺するように体を揺らす初音にぐっとくる。
おそらくはあかりの母親の千春が家出したとき、あかりとさして変わらぬ年格好だったのだろう。母親を知らぬままに母親と同じトランペットを愛する少女に育ったあかりを見ることになる初音の心の描写が今後興味深い。


posted by おーゆみこ at 12:30| Comment(8) | TrackBack(0) | てっぱん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
自己レス。あ、「疑い」が頭をもたげた直後、お父ちゃんが「養子縁組にした」って口走っちゃったんだ。なら不自然でもないかな、真相を知る過程。
Posted by おーゆみこ at 2010年09月28日 12:55
あの「たなかはつね、ろくじゅうはち!」(69ではなかったと思います(^_^;))にウケました。大笑い。(その直後の、あかりのぴょん、というのもなんかマンガチックではあるけどこれも・・・)

まぁ、冷静に?考えると、今日の回のスタートで真知子さんが、ああいうリアクションじゃなくて、初音さんを外の喫茶店かどこかに連れて行って...とできたらまぁ「大人な対応」になったんでしょうが、それじゃ物語が動きませんものね。(^_^;
Posted by 宏 at 2010年09月28日 13:45
「ろくじゅうしち!」だと思ってました。リアルの純子さんがそうなので(^^;)

私は、あかりちゃんと初音さんが真実を知ってくれて良かったと思いました。
千春さんという一人の人が生きた証を、その母と娘が何も知らないと言うのはあまりに悲しすぎます。

娘会いたさに取り乱した行動をとり、その娘がこの世のものではなく、しかも自分のしたことが穏やかに暮らしていた家族の生活に波風を立ててしまったと気付いたときの初音さんの表情、なんともいえないものがありました。

「つばさ」以来のお気に入りになりそうです。
Posted by 櫻路@書き込みは久しぶりですぅ at 2010年09月28日 14:17
67ですね、再放送で確かめたのに修正忘れました。今出先なので後で直します。
Posted by おーゆみこ at 2010年09月28日 16:04
BS2で今確認しなおしたら、「ろくじゅうしち」でした。(_ _;
Posted by 宏 at 2010年09月28日 19:47
「てっぱん」もよろしくお願いします。

オープニングのダンスは?でしたが(ダンサーHPにて募集中らしいですね)、葉加瀬太郎さんの音楽はいいですね。尾道の景色も、そこに「尾道と言えばこの人でしょう」みたいなノリで尾美としのりさんが登場するのもいい(ついでに富田靖子さんとか大林監督とかゲスト出演してくれてもいいな)。ヒロインも思ったより変な力みやクセがなくて好感が持てます。もちろん、森田直幸くんにも注目してますよ。
チーフ演出が、「ちりとてちん」であの弟子集結・草若師匠高座復活の6・7週など主要週を演出した井上剛さんなのも期待値・大です。

でも何と言ってもあかりの出生の秘密を「どこがかわいそうなんよ」と言い切る母親・安田成美さんの強さがいい。このセリフと、最初から息の合った家族のシーンを見て(朝ドラはなんといっても家族の食事が大事なシーンになりますから)、もっとこの家族を見たいという気持になりました。
そういえば安田成美さん、その昔某大御所脚本家の朝ドラヒロインを途中降板したことがありましたけど、今回は最後まで、ビシッと筋の通ったおかあちゃんを演じてくれそうな気がします。
Posted by しまじろう at 2010年09月28日 20:40
血の繋がりが何なのさという流れ、私も惹かれます。個人的にも自分と全く共通点がない娘に対し、多分血の繋がりがないのだろうと
葛藤を抱え、血の繋がりが何なのさとの境地に至ったのが自分と重なります。だから前作は評判はいいのに、長男云々とか親だから世話になって当然とか、娘への干渉とか思考が停止しているようで、ついていけませんでした。この家族観にさほど疑問を呈するひとが多くなさそうなことも、これが現実かと。人物がちりとてのように厚みをもって描かれることをちょっと期待しつつ見守ります。
Posted by いとぱん at 2010年09月29日 09:22
「67!」
訂正しました。

>いとぱんさん
そうですよね。ゲゲゲの「家族観」、私は、伝えたいことの本質はそれではないのだろうと自分なりに解釈して見てましたが、本文中で再三漏らしたように、これこそが理想!と思って見ている人は多いのだろうなと複雑な気持ちでした。
Posted by おーゆみこ at 2010年09月29日 14:13
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