2011年02月28日

【てっぱん】第128話 無私の人 #drama #teppan #nhk

吉弥さんはそこでしたか。

<村上家を突然尋ねた浜野。だがあかりは既に帰ったと聞いて拍子抜けする。

滝沢の移籍先が決まったことを栄治に話している根本。向こうにちゃんとコーチがいるので根本自身がついて行くわけではないが、滝沢のために心から喜んでいる様子。だがあかりは沈んだ顔。それに気づいたのぞみが
「寂しいんでしょう」
と振ると、根本も
「ええコンビやったもんなあ。滝沢もおのみっちゃんと離れるの寂しいんちゃうか」

滝沢は部屋で、スニーカーに書かれたあかりからのメッセージを見つめている。

「…憎まれ口聞く相手がおらんようになるけんね!」
無理に笑顔を作ってごまかすあかり。のぞみはニヤニヤして
「恋愛偏差値低いところは似たもの同士ね」
「恋愛偏差値?」
「どうせこの年まで、男っ気ゼロだったんでしょ?」
「それは…」
否定できないあかり。

社長が出張から戻ったらこの話を報告すると根本が言うのを聞いて
「社長さん、出張ですか?珍しいですね」
とあかり。栄治は、生まれて初めての出張で広島に行った、という。
「どうしても落としたいお客さんがおるんやて、えらい張り切っていかれはったわ」
と根本。
「へえ〜」
(まさか…自分のこととは…思いませんわなあ…)

尾道。浜野を夕食の席に同席させている村上家。遠慮しようとする浜野に、うちはお客さんに慣れている、と真知子。そして欽也が
「滝沢君なんか、なんどもうちのメシ食うとるしの」
なんの気なしに言うと
「…滝沢…。…じゃあ、お言葉に甘えて」
真知子も無邪気に
「あかりはどうですか?…滝沢君と上手く行っとるんじゃろか?」
「え?うわわ!」
錠も浜野も同時に動揺し、錠が注ごうとしていたビールがこぼれてしまう。
「お前何を言い出すんじゃ!」
と錠。
「ほんでも気になるじゃろ?あかりはなにも言ってこんし」
(錠)「そりゃなにもないからじゃろ」
(鉄平)「ま駅伝は、速いのは足だけじゃからの」
(欽也)「滝沢君が相手なら、俺は大歓迎じゃ」
(錠)「もうその話はしまいじゃ、お客さんの前で!」
浜野は一気にビールを飲み干すと、座布団ごとずずいと後ろに下がり平伏する。何事かと驚く一同。
「あの……実は……。今日お伺いしたのは……おのみっちゃんとの、お、おつきあいを…お許し頂きたく!」
「え?おつきあいを??」
驚く真知子。だが錠は平然として
「そんなことなら、わしらに断らんでも…」
「よろしいんですか!!?」
「よろしいもなにも、あかりの店の鰹節、浜勝さんのでしょ」
「…え…?」
やれやれ、という風に頭を掻いている欽也。真知子が
「お父ちゃん、おのみっちゃん、ていうのは」
「…あかりのことじゃ」
欽也が引き取る。
「えええ〜〜!」
素っ頓狂な声を出したのは鉄平のようだ。錠は固まってしまう。
(浜野)「はい」
(錠)「いつからじゃ」
「え」
「いつから、つきおうとるんじゃ!」
「…は?」
「あいつ、そがいなそぶりこれっぽっちも見せんで」
(真知子)「ほんま」
「い、いや、ですから、これから…おのみっちゃんに…申し込もうと…」
(真知子)「ん?」
「どうか…よろしくお願いします!」
再び平伏する浜野。

大阪。滝沢は初音に退去する旨を伝えたらしい。急なことですみません、と言う滝沢に、初音は微笑んで、
「下宿人旅立たせるのが大家の仕事や。おめでとう!」
ありがとうございます、と頭を下げるが、滝沢の顔は曇っている。

滝沢を受け入れてくれた有明製薬がいい状況で、滝沢が入れば来年の駅伝で上位入賞もあるなどと栄治に話している根本。
「ほな来年の正月は、テレビで応援やな。なんやほんま、遠い世界の人になってしもたな」
と栄治。
あかりの顔は沈み勝ちだが、無理矢理笑顔を作り
「今のうちに、サインもらっとかんとね!」
そんなあかりをじっと見つめるのぞみ。

「突然、すみません…。舞い上がってしもて…」
という浜野に、頷いている真知子。錠は険しい顔で
「失礼ですが…浜勝さん、おいくつですか」
「31です…。おのみっちゃんと同じ、午年で…。最初は、妹みたいに思ってました。ぼく…一人っ子やったもんで、こんな妹おったら、なんて。でも…おのみっちゃんが会社辞めて、気づいたんです。あの子の笑顔が仕事のはりあいやったって…。まだ小さな会社です、けど、おのみっちゃんの笑顔のためやったら頑張ります!絶対、幸せにしてみせます!」
力説する浜野。
「………」
ただ黙って浜野を見つめる一同。真知子が口を開く。
「あの…あかりは…まだ知らんのですよね、浜勝さんの気持ち…」
「はい…」
「ほうじゃったら、うちらは、なにも」
「…ですよね」
「…あかりと話し合ってから、出直してきんさい」
「え、…それじゃ!」
「それじゃじゃのうて、…話はそれからじゃ」
「あ。…はい」

あかりはコインランドリーに向かいながら、
「福岡…」
とつぶやいてしまう。
コインランドリーに滝沢がいるのに気づき、一瞬躊躇するが、また笑顔を作って中に入り
「おう!」
と気軽な挨拶を装う。
「おう」
と滝沢。
「おめでとう!」
「…ああ…」
「…駅伝が強いチームなんじゃって?」
「…俺は根本さんと二人でマラソンだけやっていこうと思ってたんやけどな。…あんなに喜ばれたら…断るわけにはいかんわな。根本さんの分も走らんとな」
「……。どんなとこなん?」
「ん?」
「新しい、会社のあるとこ」
「ええとこらしいで。海近いし…魚が美味いんやて」
「尾道みたいなとこかね?」
「…せやったらええな」
あかりは滝沢がいつも聞いているプレーヤーを見て
「いつも…何聞いとるん?」
滝沢は無言でプレーヤーをあかりに渡す。
「ええん?」
あかりは嬉しそうにイヤフォンを耳に当てる。
「え?」
滝沢の聞いていたのは落語だった。
「瀬を〜はやみっ!ワン!」
「えへ」
つい笑いがこぼれるあかり。

「お前も一緒に来るか?」
滝沢は自分の洗濯物を乾燥機から取り出しながらあかりに背を向けたままで突然言う。
「え?」
振りむくあかり。滝沢もあかりのほうを向き
「……。俺と一緒に…福岡けえへんか?」
「……ど…どういうこと?」
「そのままの意味や」
「………。……ほ…ほいでも…」
「言うてみただけや!忘れてくれ」

そそくさと立ち去ろうとする滝沢。出口で振り向いて
「俺が落語聞いてること…誰にも言うなよ」
と照れくさそうに少し笑って言い、出て行く。
「…え…?」

外に出て、立ち止まって振り向き、辛そうな顔になる滝沢。
あかりはただ呆然としている。
「なんよ…あれ…?」
そして落ち着かない表情になる>

浜野に対する村上家の呆気にとられぶりがなんだか可笑しかった。欽兄の、どこか浜野を気の毒がってるような表情とか、鉄平の口半開きのままとか、錠ちゃんの事態を理解し切れていない顔とか。

そして滝沢君の切ない顔もまた印象的。

だがだがだが。私にとって一番印象的なのは、根本さんの無私っぷりである。自分が滝沢をコーチすることが出来なくなるというのに、そういうことには全くこだわっていない。ただただ、滝沢くんが思う存分走れることが嬉しく、それだけである。滝沢のためにはいいことだけど、でも…みたいな逡巡が微塵もない。職業的にはもはや出来なくなっていたとしても、これまで心血を注いできたことが自分のもとを離れるのだ、寂しくないはずがないのに。
ここはやっぱり滝沢に、あかりのことはともかく、根本さんのもとでマラソンをしたいのだ、と主張してもらいたいものだ。でもそれは難しいんだろうか?やっぱり実業団とかに所属していないと?そういえば東京マラソンでの日本最高位の人は実業団には所属していない「市民ランナー」だったそうだが、もしかしたらそのニュースってものすごくいいタイミングだったりしないんだろうか。ものすごいシンクロニシティだったりしないかな〜。収録が遙か以前だったドラマなのに、その放映のタイミングで「市民ランナー」というコンセプトが脚光を浴びるってことが。

おっと時間切れ、ちょっと半端だけどここでアップします。


posted by おーゆみこ at 17:08| Comment(1) | TrackBack(0) | てっぱん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月26日

【てっぱん】第127話 「自分」が分かった #nhk #teppan #drama

あちゃー>シャチョさん&根本さん

<3人がかりで家事にてんてこ舞いな村上家3きょうだい。そこへ真知子が退院して戻ってきた。口々にいたわる一同。真知子は当たり前のように、じゃお昼ご飯作ると言うが、錠が、きょうは自分が作るという。

いささか不器用な手つきでキャベツを刻む錠。あかりに教わっているようだ。こうやって教わっておけば、一人の時でも作れるだろうと錠。お母ちゃんの味を伝授する、とはりきるあかり。物陰から覗いて微笑む真知子。

そして家族で鉄板を囲む。和気あいあいとした家族。それをしばらく微笑みながら見つめていたあかりは突然
「あのね!…ちょっとだけええ?」
「なんじゃ」
「うち…橘さんに会いたい」
「………」
黙って、うっすら微笑みを浮かべる真知子。錠も穏やかな顔で
「ほうか、…会いたいか」
「でもね、それはうちが…うちが自分で頑張ったいうて、思えたとき…。いつになるかは、分からんけど。…また…会ってみたい。…ええかな…」
「………」
黙っているが微笑む一同。それにははっきりと答えを言わず、鉄平が
「あ!お父ちゃん、これもう、裏がえさんといかん」
「よし!行くぞ!」
和気あいあいに戻る一同。ビールで乾杯する。

初音のもとに真知子からの手紙が届く。迷惑と心配をかけたと詫び、
「また先日は、橘さんとお会いする機会を作って下さってありがとうございました」
同封されていたベッチャーが描かれた手ぬぐいを広げて笑顔になり、首にそれを巻く初音。
思えばこの2年間、とても慌ただしい日々でございました。あかりを大阪へ送り出してからというもの、娘を見るたびに、いつも思います。私たちの知らない間に、こんなに成長しているのだと。親としても、胸がいっぱいになります。橘さんとのこれからについては、あかりの意志を尊重してやりたいと思っています。あかりは、私たちの希望のあかりです。この灯火を大切にして下さっている田中さんに、あのときお預けして間違いなかった。今はただ、そう感じています。これからもあかりをどうぞよろしくお願いいたします」

徹と民男、笹井が店にいる。あかりが帰ってくると聞いて、
「お姉ちゃんのこと、ここで待っときたいから」
と民男。
そこへ戸が開き、一同期待顔で見るが、栄治であった。
(初音)「なんやあんたか、むさくるしい」
(民男)「おっちゃん、ハズレや!」
栄治はあかりが今日帰ってくることは知らなかったようだ。

あかりは外まで帰ってきたが、すぐには入らず、軽口をたたき合う栄治や初音のことを覗いている。そしていかにも幸せそうな笑顔になる。入ろうとしてまた一歩後ろに下がり、のれんをつくづく見て
「おのみっちゃん…えへへ!」
そして店に飛び込む。
「あんたもう帰ってきたんか!」
と例によって口では言いながらもうれしさを隠せない初音。
尾道のお土産を広げてみせるあかり。
のぞみには特別に欽也からのみやげがあった。店を手伝ってくれているお礼だとのこと。だが中を見ると、赤ちゃんグッズばかりである。
「お兄さん、パパみたいですねえ!」
と笹井。
「これだけ?…子供積み立ての資料忘れてる。営業したくせに!」
尾道でくしゃみする欽也。

部屋で初音と向き合って座るあかり。
「うちね…橘さんに会うてから…なんか…ずっともやもやしとったんよ」
「ほんまのお父さん言われても…どうしたらいいんか…。うち自分のことも、まだ分からんことだらけじゃけど…ひとつだけはっきり言えること、見つかった」
「なんや?」
優しい調子で尋ねる初音。
「村上あかりは、え〜え名前じゃ!」
「うん!」
大きく頷く初音。
「そう思うたらね、尾道の海も、山も、坂も…この大阪も、お店も、どこも、全部見慣れてる風景じゃのに、初めてみるみたいでね。うち、『あかり』って名前、大好きになったよ!」
「ん…」
この上ない優しい微笑みであかりを見つめる初音。
「好っきやで、おばあちゃんも。あかり!」
「え…」
あかり、と初めて名を呼ばれ、少し照れたような表情になるあかり。頬に涙が伝っている。
照れ隠しのようにベッチャーの手ぬぐいを広げてみるあかり。
「ふふふ、ベッチャーじゃ!」
「ベッチャーじゃ!」
指を頭に角のように立てて鬼の真似をしてみせる初音。笑いながらも手ぬぐいで顔を覆うあかり。
「あかりって呼ぼうかな…」
「え?」

自室で、笹井が作った花瓶に生けたひまわりの花を見、そして橘の「ひまわり」の楽譜を見るあかり。そして
「ありがと…」
と笑顔で楽譜に向かって言う。

尾道。夜に来訪者がある。応対する錠。来訪者はなんと浜野だった。
「あ…あかりが勤めとった会社の…」
「はい、改めまして、浜辺の浜に野原の野、一番の一で、浜野一です」
鉄平や欽也、真知子も奥から出てくる。
「あれ?社長さん、どうしたのスーツなんか着て」
「おのみっちゃん…いや…あかりさんに、会いに来ました」
(一同)「あ〜」

その頃大阪では、滝沢が帰宅してきて店の前であかりに声をかける。
「おかえり」
「ただいま!」
「おふくろさん、もうええんか?」
「うん。元気になったよ」
「そうか」
「じゃけ、滝沢さんもまた、尾道に合宿に来てよ。うちのみんなも、喜ぶけえ」
「……」
滝沢は突然あかりの腕をつかむ。驚くあかり。
「……お前はどやねん」
「え?」
「…俺の…尾道合宿」
「うち?…大歓迎よ!」
「俺…」
そこへバタバタ走る足音がし、根本が駆けてきた。そして滝沢を見つけて
「おった!」
といきなり抱きつく。
「なんすか、根本さん?」
「よかったやないか!今留守電のメッセージ聞いたんや!有明製薬がな、お前のこと引き受けてもええって!」
「ええ!」
「え、じゃあ滝沢さんの移籍先が?」
嬉しそうな声を出すあかり。だが根本は続けて
「そうや!福岡で少し遠くなるけどな、条件は申し分ないんや!」
「福岡…?」
やや呆然とするあかり。
根本はあかりの声の調子、そして滝沢の表情には気づかず
「よかったやないか!お前!」
心から滝沢のために喜んでいる様子だ>

なにはともあれお母ちゃんが無事でよかったよかった。
でも、お母ちゃん不在により「こんなことを毎日やっててくれたんか!」みたいなのはちょっとベタで、この前も書いたけど、そういうのにちょっと「ピキ」と反応しがちの私にとっては、手放しでは感動できないけどね。

ゲゲゲでもそうだったけど、自分が表舞台には立たずとも、人のために尽くすことで自分も幸せでいるということ自体には異論はない。けれどそれが良妻賢母幻想と容易に結びつくところがなんかね。そのうち朝ドラも、女性主人公じゃなくて、男性で「内助の功」している人を主人公にしてみて欲しいとか思ったり。宇宙飛行士の向井さんや山崎さんの御夫君とか? あ、そう言えば「まんてん」はそれに近かったんだな。
そうだ、以前は女性が頑張って、「ひとかどのものになる」物語が多かったんだ、朝ドラは。むしろゲゲゲのような内助の功を強調するほうが珍しいんだったね。
布美枝さんや真知子さんのありかたを否定するつもりは微塵もない。それどころか素敵だと思う。ひとかどのものにならなくたっていいんだ、というコンセプトには共感できる。
あれだな、こういう描写に身構えてしまうこと自体が私自身の「偏見」なのかもしれない。

お父ちゃんが、真知子さんがいないと何も出来ない自分を反省したらしいのはいいね。
結局、性別関係なく、だれであれ「自立」しないといけない。経済的自立ってこと(だけ)じゃなく、暮らしの自立。基本的な身の回りのことをこなしていく力。もちろん、人の力を借りるべき所は借りる。きちんと借りることができるっていうのも一種の力かも。
そうかそう思うと、やっぱりこれは、ありきたりの言葉ながら「精神的自立」ということかも。そしてそれは、決して誰の力も借りずに甘えずに、ということではなく、人の力を借りても甘えることがあっても、それでも精神的に自分であろうとする意志、ということだ。魂の自立。

そう、自分であろうとする意志。
あかりはこれまで、「自分がだれなのか分からん」と言っていた。
あかりのような境遇にはなったことがないから本当にはその感覚が分かりきれないと思うが、とりあえず問題を矮小化して(??)考えてみると、尾道の家族に、どれだけ甘えていいものなのかが分からない、という気持ちはあっただろう。つまり、家族や周囲の人達との距離を測りきれない。自分はどこに立っているのだろう? 
そしてまた、自分の血に流れる、産みの両親から受け継いだものと、自分の肉となった、尾道の両親や兄弟とともにしてきたものがどうなっているのかが分からない。自分は何で出来ているのだろう?

やっとそれが分かったのだ。というより、そんなことは考える必要がなかったのだということが分かったのだ。自分は自分、ここにいる自分。そして家族は家族、血が繋がっていようがいまいが、自分のことを思ってくれる。そして自分も彼らのことを思えば胸が熱くなる。それで十分ではないか。

そういうことなのだろう。
「あかり」という名が大好きになった。
そしておばあちゃんがやっとその名で呼んでくれた。
分裂しかかった自分が統合されて一つに戻った。
posted by おーゆみこ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | てっぱん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月25日

【てっぱん】第126話 グッジョブ! #nhk #teppan #drama

隆円さんの表情がなんとも。

<坂の上から尾道の街を眺めながら「あかり」という名前の由来について、真知子が話してくれたこと、橘が話したことを思い出しているあかり。

家の前の路地を掃いている初音。伝が話しかける。実の父親に会えてしまった以上、あかりがここに戻ってくるのはあんたとこの店のためや、と言う。
「これからどうするか、尾道の親御さんたちと、話し合うてるかもしれんで」
「…あの子と、親が決めたことやったら、うちはそれでええ」
顔色も変えずにいう初音に、伝は、恐れ入りました、とでも言うような仕草。そして
「ひとつ言うの忘れとったわ。実の父親に、あかりちゃんに会うてくれて言うたな。初音はん…あんた、立派やで」
「……」
初音は何も言わないが、少し微笑む。だが伝が立ち去ってから箒を持つ手を止め、寂しげな表情を見せる。

真知子の病室のあかり。家のことをやってくれていることで礼を言う真知子。あかりはむしろそれを毎日やっている真知子がすごいという。真知子は真知子で、店をやっているあかりを褒め、自分は家のことしかできないという。
「やりたいこととか…ないん?」
真知子は家族が満足して暮らせたらそれで十分なのだと言う。
「じゃけえ、あかりも…」
「うちは、好きにさせてもろうとるよ?」
「橘さんのことよ」
「………」
「また会いたくなったら、会いに行って、ええんよ。あかりのトランペット聞きながら、思うたんよ。あんな素敵な曲を作れる人が、あかりのお父さんなんじゃわ、って」
「お母ちゃん…」
「親に遠慮せんでええて言うたじゃろ?橘さんにはいつでも、お母ちゃんたちがお願いするけん」

練習をしようとしている滝沢に浜野が声をかける。
「話が…あんねんけど」
シューズの紐を調整している滝沢はちらと浜野を見やったがまたすぐに視線を戻し
「なんすか」
浜野は滝沢の隣に座り
「自分…どう思ってるん?」
また一瞬だけちらと浜野を見る滝沢。答えない。
「……おのみっちゃんのこと」
シューズから手を離して身体を起こし、正面を向く滝沢。浜野のことは見ない。
「…ただの下宿人ですわ」
「……ほんまに?…」
「…俺には…移籍先決まるほうが大事です」
「……。…ほな……僕が言ってもええってことやな?」
「…お好きにどうぞ」
浜野は持っていた鰹節の大袋を滝沢に押しつけるようにして去っていく。袋を手にしてじっと見、複雑な顔の滝沢。

村上家には久太と隆円が差し入れのケーキを持ってやってきた。
「錠ちゃんは?」
「あ、え〜、え〜と…」

錠はまたしても真知子の病室に、花束まで持って行っていた。
真知子は
「お父ちゃんに…謝らんといけんね…」
「ん?」
真知子は、あかりに、橘に会いたいならいつでも会っていいと言った話をする。

「橘さんが会いとうなくても、あの子が会いたいなら、うちは何度でも頭下げるつもりよ」
「……あかり…何じゃ言うとった?」
「黙って…聞いとったわ」
「ほうか…ありがとの…」
真知子の手をとり、握る錠。微笑む真知子。

錠が真知子の病室に入り浸り(?)なことに呆れる久太たち。
「お父ちゃん、お母ちゃんに申し訳ない思うてるんじゃろ」
と欽也。すると鉄平が
「お母ちゃんが倒れたん、俺のせいじゃけえ」
(あかり)「鉄兄!」
(鉄平)「俺があかりの実の父親のことで文句を言うたけえ」
「お前のせいじゃな〜わ」
大阪に一緒に行ったのに自分が気づかなかったと欽也。だがそれを遮るようにあかりは
「お母ちゃんのことは、うちのせいじゃ!だって相手は、うちのほんとのお父さんなんじゃけ。じゃけどお母ちゃん、うちに、橘さんにまた会うてもいい言うたんよ。うちのために、お願いしてあげるって、笑って言うたんよ。そこま言うてくれるまでに、どれだけお母ちゃんのこと泣かせたんじゃろうか…」
(欽也)「お母ちゃんはそんなことは…」
(あかり)「うちほど親不孝な子はおらん!」
「あかり!」
怒った声で言う欽也。
聞いていた久太が我慢できないというふうに立ち上がる。
「おい!おまえらの!もういい加減にせい!」
久太の勢いを隆円がたしなめようとするが久太はかまわず、色々賞状が飾ってあるところに行き
「おい、これ見い。賞状、村上欽也どの。欽也どの!!」
欽也の方を向いて呼ばわる久太、座り直して正座する欽也。
「あなたは、第79回、珠算暗算能力検定において…」
賞状を読み上げる久太。あかりも立って、賞状の真下でそれを見上げる。
「ええか、おまえらのう、これもろうたときのこと、思い出して見い!」
鉄平の少年軟式野球MVPの賞状も読み上げる久太。正座する鉄平。そして
「大泣きで賞。村上あかりどの!」
あかりのは「ベッチャー祭り 赤ちゃん泣き声コンテスト」の賞だった。

目をしばたたかせる久太。微笑んで頷いている隆円。
「思い出して見い!真知子ちゃん、どうしとったね?

(欽也)「俺の練習に毎晩つきおうてくれたわ」
(鉄平)「俺がバッターボックスに立ったとき、必ずお母ちゃんの声が聞こえて…絶対打ったる、そう思うた」
嬉しそうに言う兄弟。
だがあかりは泣きそうな声で
「うちは赤ちゃんの頃じゃ…覚えとらん」
すると欽也が優しく
「あかり、俺が覚えとる!お母ちゃんがお前をベッチャーに差し出しての。頭打たれて泣いたお前、笑いながらあやしとった」
(久太)「鬼に打たれた赤ん坊は、幸せになるんじゃ。じゃから親はみんな子供の幸せを願って、鬼に打ってもらう。欽也の時も、鉄平の時も、あかりちゃんのときも!3人とも、真知子ちゃん優しい顔で、鬼に打たせとったわい!あんときの真知子ちゃんの顔、おまえらに見せたかったで!」
テーブルをどん!と叩く久太。
隆円は優しい微笑みを浮かべてうんうんと頷いている。

「恩返し当てにして、子供育てる親がどこにおるんよ!」
「大丈夫、なんも変わらんよ」
真知子の優しい言葉を思い出しているあかり。
突然立ち上がってどこかに行く。

久太は焦って
「わし…なんかまずかったかの…」
隆円は、いやいや大丈夫、とでもいう風に軽く頭を振る。

あかりはアルバムをとってきたのだった。
「これ見て!ほら!」

かつて初めて自分が養子であったときのことを知った瞬間が回想でかぶる。同じようにアルバムを持ってきて、家族の写真を見ながら
「ほら!うち、うちここんちの子じゃろ?」
だが黙りこくってしまった家族に
「……最悪じゃ〜!!」
と突っ伏すあかり。
だが今回は、微笑みながら写真を見て、
「うちは、どうみても、ここんちの子じゃ!」
(欽也)「ほうじゃ…なに言うとんね!」

病室。不器用にリンゴをむく錠。笑う真知子。

笑いあいながらアルバムを見る兄弟3人。
少し離れたところで背中を向けてケーキを食べる久太。その背中を叩く隆円。
「久ちゃん、やるのう!」

あかりの笑顔。
(この子、なんやこう…、久しぶりに、ええ顔で笑てますわあ…はははは…)>

きょうはなんかみんなが互いに「グッジョブ!」言い合ってた感じ。隆円さん→久太さん、伝さん→初音さん、そして錠ちゃん→真知子さん。それというのもみんなが気持ちを共有できているってことだよね。
みんながみんな、自分が寂しいとかそういうのを超越して、だれかの(この場合はあかりの)幸せを願う。でもそれこそが、自分も本当に報われる道なんだよね。

ただ正直言って真知子さんのスーパー優しい奥さん&母ちゃんぶりの描写には、いつものようなちとひねくれた警戒感を抱かないでもないんだけども。ゲゲゲのときに感動しながらも布美枝さんの「内助の功」の描写に警戒感を抱いたのと同じで。簡単に「こうあってほしい」と思われそうだものね。自分のことを後回しにしても家族のことを想う、というのが、奥さんとかお母さんとかだけに求められる資質じゃないはずだし、もちろんゲゲでもこのドラマでもそんなことを強調してはいないと思うけど、ここのところの描写ぶりは少しだけくすぐったい部分もある。

ところで滝沢君も、真面目なだけに、それこそありきたりの言い方になるけど、自分ではあかりを幸せにできない、とか思っちゃってるんだろうなあ。立場も不安定で。それに比べて浜野は社会的にしっかりした立場を持っている。鰹節の袋は、もちろん浜野としては礼のつもりなんだろうけど、自分がもらってもどうにもできない。それをどうにもできない自分の立場、そしてそれは同時に浜野の確固とした立場のシンボルでもあり、滝沢君としては悔しくさえあろう。

でももしかしたらあかりは、最終的に滝沢君ともカップルにはならないのかもしれない、とも思った。社長とも。なんかそういうドラマではないような気も。とりあえずあかりは「次のステージ」にはいくかもしれないけど、それって恋愛がらみではないのではないかしら。
posted by おーゆみこ at 14:55| Comment(0) | TrackBack(0) | てっぱん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする