2010年12月18日

【てっぱん】第72話 愛とは「お大事」 #nhk #teppan #drama

ううむ、ウーロン茶で乾杯はどうなんかのう。

<大口の出前注文が来た、と大喜びの鉄平。

大阪から戻った加奈は真知子に弁当箱を返しに行く。そして、子供が家を出たら寂しいものか、自分が音大に行ったら両親だけになってしまうから、と真知子に尋ねる。
加奈は弁当箱に南天の小枝を入れていた。あかりに教えてもらったのだという。
真知子は
「寂しくない言うたら嘘になるけど…。鉄平とあかりが、新しいこと覚えていくんは、楽しみじゃね」
とニッコリ。
「どこにおっても、子供が笑うとってくれたら、親は幸せなんよ」

「食べてくれる人がおるけん、作るんじゃね」
初音と並んで店の後片付けをしながらあかりが言う。
「あたりまえや」
柔らかい調子で言う初音。
「あたりまえすぎて忘れとった」
「ひとりひとり、しっかり向き合わんとね」
食べてもらった上にお金まで頂くのだから中途半端なものは出せない、と初音。
「うち…この店を、みんなの家にしたい」
民男の描いた絵があかりたちを見下ろしている。
「考えたんよ、店に来てくれるお客さんたちのこと」
浜野のこと、笹井のこと、滝沢のこと、冬美のこと、民男たちのこと、そしてそのほかのお客さんたちのことを回想するあかり。
「そんな店を…変かな?」
初音は優しくほほえんであかりの肩をたたき
「店の売り、見つかったやないか!」
「うん!」

しばらくたって。
鉄平が出前から帰ってくると、店の中から乾杯!のかけ声。浜野が新規の顧客を3軒も獲得したらしい。だがその前に3軒なくしているからプラマイゼロと笑いながらも、小夜子も栄治も嬉しそうだ。
「なかなか引退できまへんな」
と栄治が小夜子に。
「社長が一人前になってくれはらへんと、女の幸せが遠のく一方や…」
「そんな言うて、嬉しそうでっせ」
笑う一同。
鉄平も、出前の大口注文が入って目標数達成だ、と張り切っている。

伝が入ってくる。美咲から電話で、あれから家で肉じゃがを作ったと言ってきたという。
あの料理教室で作ったやつか、ちゃんとできたのか、と小夜子たち。自分も食べたかったと浜野が言うと、まだ残ってる、と鉄平が冷蔵庫から出してくる。鉄平は思いついて、肉じゃがをてっぱんにあけ、「肉じゃが焼き」を作り出す。一同、半信半疑で、そのまま食べた方がよかったのではないかと言うが、できあがった「肉じゃが焼き」を一口食べた伝は、
「ん〜〜!」
一同こもごも、これはイケル、と大喜び。作った本人も食べてみて驚いている。

そこへ笹井もやってくる。とても嬉しそうなので、あかりが何かいいことあったのかと尋ねると
「はい!やっと、一枚売れました!」
一同大拍手、乾杯だ、と喜ぶ。
そこへ根本につれられた滝沢がやってきた。一瞬黙ってしまう一同。
「おまえ、何しにきたんじゃ!」
と気色ばむ鉄平。
だが根本が滝沢を促す。
「こないだは…失礼なこと言うて…すいませんでした」
(伝)「なんや兄ちゃん、役立たず言うたの、気にしてたんか」
「…まあ」
「ありがとうございます!」
突然笹井が叫ぶように言う。
(滝沢)「え?」
(笹井)「おかげで、絵が売れました」
(鉄平)「絵が売れたんは、こいつのおかげじゃないじゃろ?」
(笹井)「でも、がんばりましたから!」
(浜野)「せやな、おかげで、ぼくもがんばれたわ」
(伝)「せや、せや!」
(あかり)「滝沢さんが、みんなに、火つけたんじゃね」
(滝沢)「………」
(鉄平)「今度は、…おまえの番じゃ」
(滝沢)「俺の?」
(浜野)「実業団駅伝の予選、あるんやろ」
(滝沢)「ああ」
(笹井)「大丈夫です、ぼくたちも、なんとかなったんですから!」
(伝)「たすきは、渡したで」
(根本)「よかったやないか、みなさん応援してくれるで」
(滝沢)「はい。ありがとうございます」
ウーロン茶で乾杯する一同。

肉じゃが焼きを初音に試食してもらうあかり。
初音は、具がごろごろしすぎだし、肉じゃがの甘みももうちょっと抑えなければ、と助言。
「よし!また出直しじゃ!新しいメニューにするんよ」
「………」
「だめかね?」
「…こんな日がくるとはなあ…」
「え?」
「孫と、料理の話をするなんて…」
空を見上げ、幸せそうにほほえむ初音。そんな初音をのぞき込んでからかうように
「長生きは、してみるもんじゃね!」
「ほんま。あんたの借金返してもらうまで、死んでも死にきれないわ」
そう軽口で応酬しながらも、この上ない幸せそうな微笑みをたたえる初音の顔。
縁側に並んで座っている二人。あかりはそっと、少しだけ初音の方に近寄って座り直し、初音の方に頭をもたせかけた>

唯一私が気になるのは、お酒を出せない店ってやっぱ辛かろうってことだけど…。でも、もともと飲めない人や子供も含めた家族連れなんかには、酒飲みがいない店、ってのは貴重かも。たばこについても、大昔はレストランが禁煙とか「ありえない」感じだったけど、今は禁煙席は当然として、全面禁煙のレストランだって増えているし、それがありがたいと思う人は多いもんね。酒なしお好み焼き屋にもそれでこそのニーズはあるかも。

てことはまあともかく。
喜んで食べてくれる人がいるから料理を作る、てのはちと今の私には辛くないこともない。
食べてくれる人がいなくなっちゃたからなあ。
とはいえ、私は今でもちゃんと料理をしていたりする。食材が冷蔵庫に満載で困るくらいなのに、グロサリーショッピングに行くとまたいろいろ買い込んでしまったり。
今の私は、なんというか、「私自身をもてなしている」というのもある。ちゃんと作って、自分で喜んで食べる。今のところはそれをみじめとか寂しいとかそれほどは感じていない。
自分のほかに食べてくれる人がたとえいなくても、食べることを大事にする、ってのはいいことだと思う。
不慮の別れを経験したとき、どちらかというと男性の方が女性よりダメージが大きいってのは、ここもあるかなと思う。料理はもちろん女性だけの役割ではないが、まあ現時点では日常的に(←ここ大事、特別な料理ではなくて日々のこと)料理に慣れているのは女性の方である確率は高い。ショックの大きい時期はともかく、それをなんとか乗り越えたら、そのあとは普通に何か作って食べたりして、そのこと自体に癒されたりするだろう。もちろん身体的にもいいことは言うまでもない。普段料理とかに慣れていない人はここからして立ち直りにくいかもしれないな、と思う。

おっとまたしても自分語り炸裂。すみません。

ところで先日ツイッターで、こんなツイートを見つけた。
「その昔、日本に初めてLOVEという英単語が入ってきたとき、当時の偉い先生たちは「お大事」と訳しました。I LOVE YOUはあなたが大事です。あなたを、大切に思います」
ミッチーこと及川光博さんの発言らしいが。
でもこれ、いいな。とお気に入りにした。
愛、愛、と私も連発するが、我ながらなんとなく「胡散臭い」(^ ^;)響きじゃのう、と思ってしまっていたのだ。

LOVEすなわち「愛」「愛する」とは、「大事にする(こと)、大切に思う(こと)」

そう考えると、その「排他的でないこと」がより分かる。LOVEは与えたり奪ったりするなにかではない。人はいくらでも、なにかを「大事に、大切に」思うことができる。なにかを大事にしたらほかがおろそかになるわけではない(はずだ)。

たとえば今日の放送に即して言えば、食事を作ること、そして食べることそのものも「大事にする、大切にする」。食べてくれる人を(それが自分自身であっても!)大切にする、大事にする。

そういえば、漢字の「愛」というのはどういう成り立ちの字なのだろうかと思って漢字辞典を調べてみた。古い字体や要素の形をここに示すことができないので部分的に引用するが、もともと「頭を巡らせてふりかえる人」の象形で、「ふりむき見る心のさま」から「いつくしむ」の意味、とある。さらにそこに足の象形が加わり、「いつくしむ心がおもむき及ぶ」の意味を表す、そうである。

ふーむ。やっぱり、「愛」も、つまりは「心をやる、心をいたす」ということなのだ。
であればやはり、それはそれこそピザのように分けてしまってその分け前を与えたりもらったりするようなものではない。押しつけたりするものでもさらにない。
そしてまた、たとえそばにいなくてもいいのである。

真知子はそばにいなくても子供たちを大事に思い、心を致している。

愛は、つまり、「大切に思う」ことは、思われた相手ではなく、思う主体の方にとっての幸せである。好きな人やものごとのことを考える気持ちは楽しいはずだから。それに応えてもらえるかどうかはまた別の話、応えがなくても本来は十分なはず(とはいえ人はやはり応えを求めてしまうけどね…。でもきっとなにかの形で応えはあるのだ)。

それにしても初音さんの幸せそうな顔がまぶしい。
あかりという孫を得ただけではなく、千春さんのことで自分を責めていたことから解放され、今は天国にいる千春さんを、「大切に、大事に思う」ことがまたできるようになった。その幸せ。

そういえば、あの美咲ちゃんにも分かったようだ、自分が愛される、つまり「大切にされる」ことよりも先に、自分がだれかを大切に思うことが肝心なのだということ。

いいねえ、ほんとうに、おかげで私も苦しいはずなのに、とても幸せになれているよ。ありがとう。






posted by おーゆみこ at 13:20| Comment(2) | TrackBack(0) | てっぱん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【てっぱん】第71話 痛みでつながる #nhk #teppan #drama

欽兄の株はダダ上がり(ってそんな言葉ない(^_^;))

<伝の作った肉じゃがを食べる美咲と一同。伝はあかりに礼を言うが、あかりは、お礼なら美咲ちゃんに、という。
「美咲ちゃんのおかげで伝さんやる気になったんじゃから」
「美咲、ありがとな〜」
「お安いもんや、わがまま言うて感謝されるんやったら。なんぼでも言うたるで」
一同笑って、鉄平も、おまえはほんまにひねくれてるな、と言いながら美咲を外に連れ出す。

外で、鉄平は、あかりとは血がつながっていないこと、あかりは養子で、母親は生まれてすぐに亡くなり、父親はどこの誰かも分からない、と美咲に話す。
「人生、思い通りにいかんことだらけじゃ。でものう、その気になれば、運なんか取り返せる。あかりを見とったらそう思う。家族も、学校も、面白いようにするんも、つまらんようにするんも、おまえ次第じゃ」
黙って聞いていた美咲は、歯に青のりついてるで、と鉄平をからかって、そのすきに走って店に戻ってしまう。
だが鉄平はなにか手応えを感じた様子。

尾道。
錠と真知子はまたも南天の小枝について話している。どうやらあかりが小夜子に聞いたことを伝えたらしい。
「難を転じるか…」
「災いよけのお守りじゃったんじゃね」
「今時、そんなこと知ってる人おったんかの」
きっと育ちのいいお嬢さんではないかと期待する真知子。
嫁が来て孫ができたら、またお好み焼きを5枚焼ける、と錠はさらに先まで期待。
そんな話をして笑いあっているところに、年配の婦人が尋ねてきた。吉野と名乗る婦人は、尾道信金につとめている息子さんにお世話になっている、という。
「ああ、お弁当の?」
「はい!」
「ほほ、本人より先に親御さんが来てしもた…。は、はじめまして、私、錠いいます!…」
といきなり立ち上がって挨拶を始める錠。
そこへ欽也が入ってきた。それに気づいて立ち上がり、深々とお辞儀をする吉野。欽也は驚いて近づき、吉野の腕をとり、
「よかった〜!出かけられるようになったんじゃね!」
「はい!おかげさんで!」
「よかった!ほんとよかった!」

吉野が息子を亡くして悲嘆に暮れていたところ、欽也が毎日のように顔を出してくれたのだという。食事ものどを通らないようだったので、食事も一緒にと言ってくれた。
「おかげで、食べられました」
そこへ龍円がやってきて吉野に気づき、声をかける。吉野は龍円の檀家でもあったらしい。

大阪。真知子に託されて加奈があかりと鉄平の分の弁当を持ってきている。久しぶりの真知子の味に大喜びのあかりたち。

尾道では吉野が持ってきたのか、一同でおはぎのようなものを食べている。すみません、こんなおばあちゃんで、と言いながらも吉野は
「でも、気持ちが少し若うなりました。お弁当を食べながら、昔のことをいろいろ思い出しましてねえ」
「うちも、いろいろ思い出しとりました…。食べ残しがあったりすると、どこか悪いんじゃないかと心配したりね…」
と真知子。
「わかります。お弁当は、手紙みたいな感じで」
「はい、吉野さんとも楽しくやりとりさせてもらいました」
「坊主の説教より、弁当のほうが効いたのぅ」
と龍円。

真知子はさっそく鉄平に顛末を電話で伝えている。
「でもお母ちゃんは嬉しかったんよ。欽兄がどんなふうに仕事しとるのか見せてもらえたけえね」
「ほんま欽兄らしいわ」
「人が見ていないとこで、一生懸命がんばっとるんよ」
あかりに電話を替わる鉄平。弁当を食べていたらお母ちゃんの顔が思い浮かんだ、とあかり。
「にこにこしながらお弁当作っとった」
「ほうよ、お弁当作るときは、おかあちゃんは誰だって笑顔になるもんよ。子供が食べてる顔思い浮かべるけんね」
「おかあちゃん…」

そんなあかりの声を聞きながら、静かにほほえんでいる初音。

しばらくして。伝が美咲とやってくる。美咲を家に帰らせることにした、と伝。美咲も納得している様子。そして美咲からプレゼントだという。それは出前用の岡持だった。鉄平はふたの裏に何か書いてあるのを見つけ、あかりの肩をたたく。
「がんばれ おのみっちゃん」
と書いてあったのだ。
あかりと鉄平がありがとうと言うと嬉しそうな顔になる美咲。

迎えに来た両親に連れられ、天神様のあたりまで来た美咲。父親に、これおじいちゃんと一緒に作ったのだ、と木工のアヒルのマスコットを見せる。それを見た父親は
「親父…世話になったな」
「忙しいやろけどな…たまには顔見せや」
照れくさそうに言う伝。
「わかった…」
と息子。
「おじいちゃん、また木工教えてな? おねえちゃん、おにいちゃん、おじいちゃんがボケへんように、時々相手したってな!」
両親とともに去っていく美咲。一度曲がり角を曲がってもまた、手だけ出して、その手に持ったアヒルのマスコットを振ってみせる。涙をこらえる伝。

家に帰って、美咲とともにやっていた木工のことを思い出してしんみりしている伝。そこへ初音が入ってくる。
「な〜んや。生きてるんかいな」
「なんや人の家勝手に上がり込んでそれはないで」
「返事がないさかい、死んだかと思たわ」
「なんの用や」
「独居老人の、見舞いや」
初音は食事を差し入れに来たのだった。
伝の前に小皿を並べている初音。
「わしな…一人で飯食うの、なんとも思ってへんかったんや…。ああいうんは、慣れやからな。…初音はん、あんた、もう戻られへんやろ」
「なにが」
「あかりちゃんがおらへんかったときに」
「…せやな」
「おーお、あっさり認めやがったこのヘンコが…」
「いらんかったらもって帰るで!」
「ちょちょちょ、食べるで、食べますがな!」

汁をすすって
「ああ…美味いわ…」
と伝。
「あんた、また料理作り」
「え?」
「こんど孫が来るまでに、腕上げとかんと、うちの料理教室の名に傷がつくさかい」
穏やかな光の中で向かい合う2人>

ひとはみんな独りだし、だからこそ独りじゃない。
と強く思っている今日この頃。
吉野さんもそう思っただろうな。

そういや語源的に「ひと」と「ひとり」ってのは関係あるんだろうか?
なんか気になってきた。

伝さんも…まあ彼はずっと初音さんのことは気にしていたわけだが、独りの寂しさを改めて感じたことによって、むしろひとりぼっちではなくなった。初音さんも当然そうだ。もちろん今までだってずっと孤独感を感じていただろうがそれは自分の中の奥深くにしまい込んで触れないようにし、そうすれば「慣れ」てしまう。けれどあかりの出現によって今はもはや「戻られへん」と思う。けれどある意味では孤独を以前より痛切に感じ、恐れるようになっているはずである。だからこそ伝さんと、とりあえずはご近所さんとしてであっても、より深くつながろうとする。自分が痛みを知ったから、ほかの人の痛みが分かる。その痛みが人と人とを結びつける。
恵まれすぎた境遇にいる人こそむしろ幸せから遠いかもしれない。痛みの分だけ人は愛を受けとることができるから。

美咲ちゃんも痛みに悶えていたから、あかりの痛みがすぐ分かった。同情でもないし、「私の方がマシ」なんていう比較でもない。言うなれば「同士愛」。

一度人を信頼する気持ちが芽生えると、その信頼を呼び起こしてくれた相手のみならず、会う人関わる人全てに対して基本的な信頼を持つことができる。美咲ちゃんは、あかりを信頼し、伝を信頼できた。だからこそ、両親のことも許して信頼しようと思えるようになったのだろう。そして信頼された人はそれに応えようとする。

痛みを経験して、それをほかのだれかのせいにして心を閉ざしてひねくれてしまう人がよくいると思うが、心を開けば、「痛み」は実は大きなポジティブのパワーを持っているはずなのだ。

うおお。もう眠い。なんか意識不明寸前なのでもう寝ます〜〜。
明日は例によって朝早くでかけ、夕方以降は職場でのXmasパーティで遅くなるため更新は遅れます、あらかじめご了承ください(って、あ!先週末の分も結局まだ書いとらん…)。
posted by おーゆみこ at 00:44| Comment(0) | TrackBack(0) | てっぱん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月16日

【てっぱん】第70話 笑顔は最高のプレゼント #nhk #teppan #drama

料理教室で見守ってる浜勝の店員さんがなんかイケメンでいい感じ(#^_^#)。

<きみのトランペットの音がふくよかになった気がする、と岩崎があかりに言う。
「お好み焼き屋を始めたせいかな…?」
「え?」
ところが珍しくも浜野は練習を休んだ。初めてのことだと岩崎。

その浜野はこっそり「おのみっちゃん」にやってこようとするが、役立たずのあつまる場所か、ほかに行くとこないのかと言った滝沢の言葉を思い出し唇をかむ。
結局、笹井の部屋に上がり込んでいる浜野。新規のお得意さん捕まえるまでは、お好み焼きも音楽もお預けだ、と言う。
「たいへんそうですね」
絵を描きながら言う笹井。
「な。おれって、世の中の役に立ってる感じする?」
「………」
手を止める笹井。そしてややあって
「…はい…」
「そんな自信なさそうな言い方せんと…。…どうやったら、必要とされる人間になれるんやろ…」
「ぼくに聞きます?」
「笹井さんは、焦ったりせえへんの」
「焦っても…売れませんから」
「ぼくは…好きやで、笹井さんの絵」
笹井は心底驚いたように浜野の方に向き、
「本当ですか?!」
そしてまた描き始める。森のような緑をバックにした、黄色い鳥が羽を広げている絵。ケーキをデコレーションするように絞り出し袋から黄色い絵の具を点々と乗せていく。

コインランドリーに来ようとしたあかりは、中に滝沢が一人でいるのに気づいて足を止める。
滝沢はなにか苦しそうな表情。片手をさするように膝にあて、もう片方の手を握りしめている。
「あいつは、自分の背中を追いかけてるんや、誰にも抜かれへん、一番速かったころの、自分の背中を」
根本の言葉を思い出しながら、外から滝沢を見つめているあかり。

閑古鳥の「おのみっちゃん」。
伝と美咲がくれば枚数が稼げると期待しているが、
「あの二人やったらけえへんで」
と初音。今日の晩は伝が作るのだという。
ところが、伝は失敗し、結局あかりからの「出前」を頼む羽目になっていた。ところが、お好み焼きを持ってきたあかりを押しのけるようにして美咲は出て行ってしまう。
座り込む伝。
「駅伝の兄ちゃんの言うたとおりや。わしゃ役立たずやな…」
あかりは伝に近づき、美咲が5千円で豚玉を注文した話をする。母親からそのお金を与えられて何か食べるように言われたと聞いて顔を曇らせる伝。
「もういっかいやってみん?伝さんのお料理!」

浜勝での初音の料理教室に伝も参加することになった。きょうは肉じゃがを作るという。肉じゃがに使う二番だしは具の味を引き立てる、だしが味を支えている、と初音は言い
「ま、縁の下の力持ちいうことですな」
伝はメモを取り、忠実至極な生徒と化している。ほとんどつきっきりで教える初音。可笑しそうにほほえんで見ている他の女性参加者たち。
小夜子たちもそれをほほえましそうに見ている。あかりが駆け込んできて伝の様子を聞くと
「先生、ひとりじめしてはるわ」

小夜子はなぜか南天の小枝を手にしていて
「知ってた?南天には、難を転じるて語呂合わせがあるんやて。災い転じてなんとやら、そういうおばあちゃんの知恵袋が、若い人に受けるんよ」
「難を転じる、か…」
南天の小枝を見つめるあかり。
できあがった肉じゃがにはその小枝が彩りに添えられている。

岩崎と根本が「おのみっちゃん」にいる。伝が肉じゃがを作ったという話をしているあかり。美咲ちゃんが喜んでくれるといいけど、と言っているそばから当の美咲が入ってくる。その後から鍋を持った伝。
「食べへんてどういうことや…」
美咲はそれにかまわず豚玉を注文し、肉じゃがはにんじんも入ってるし嫌いだと言い放つ。
「食べてあげようか」
と岩崎。だが伝は顔をしかめ
「わしは…。美咲のために作ったんや」
だが美咲は豚玉、と言い張る。伝は仕方なく美咲の隣に座り
「わしも…豚玉」

あかりは美咲を無理矢理奥に連れて行く。
「なんで食べんの?」
「言うてるやん、嫌いや、て」
「おじいちゃん一生懸命作ってくれたんよ。料理なんてしたことなかったのに」
「私の機嫌とってどうするの?お父さんへの当てつけ?」
「伝さんはただ、美咲ちゃんの喜ぶ顔が見たいんよ!それがわからんの?」
すると初音が
「嫌がってるもん、無理に食べさんかてええ」
「ほいじゃけど!」
「ほれ!」
初音は自分のしていたエプロンを美咲に押しつける。
「わがまま言うんやったら、自分の食べるもんは自分でし!」
「自分で?」
初音はあかりに目顔で、お好み焼きを作らせろということを伝えたようだ。
あかりはそれを察し、美咲をもういちど店に連れて行く。
そして自分の隣に並ばせ、
「これから美咲ちゃんに、お好み焼きを焼いてもらいます」
伝は慌てた風に
「ちょ、ちょっと待ってくれ、やけどでもさせたら大変やがな」
根本も小学生には危ないんじゃ、と言う。だがあかりは
「できん言うて決めつけとらん?」
そして美咲の方に向いて
「どう?」
「……」
一瞬当惑する美咲、だが
「こんくらい、できるわ!」
とエプロンを身につけ始める。
台所で様子をうかがっていた初音はにんまりし
「やっぱり、あのじいさんの孫やな…」

美咲はあかりの指示に素直に従って種を混ぜ、鉄板に広げていく。
「うまいね」
と岩崎。
そして上手にひっくり返せたとき、美咲は思わず
「やったー!」
と嬉しそうな笑顔になる。
「…笑うた…」
と伝。
(鉄平)「笑えるんじゃん」
(岩崎)「悔しいなあ、ぼくはこの顔が引き出せなかった」
(根本)「家でも、お母さんの手伝いしとるんか」
(美咲)「ううん。危ないからやめときーって」
(岩崎)「ぼくもそうだったな…。指を怪我したらいけないからと包丁握らせてもらえなかった」
(根本)「あんた、小さいときから英才教育受けてたんか」
(岩崎)「でも…つまらなかったな」
(鉄平)「大人でも…あてにされんのはつまらんわ」
(伝)「せやな…」
目を細めて美咲を見る伝。美咲は自分の焼いたお好み焼きを伝の前に差し出す。
「わしに…くれるんか」
「おなか壊しても、しらんで?」
伝はかすかに顔をゆがめ、お好み焼きを食べ始める。その伝をじっと見る美咲。食べて、笑顔になる伝。それを見て笑顔になる美咲。伝はもう身もだえせんばかりに嬉しそうにお好み焼きをほおばる。鉄平や根本、岩崎も笑い出す。
「この顔が見たくて、作るんよ」
とあかり。かすかにうなずく美咲。そして
「おじいちゃん、さっきの、食べたっても、ええで」

台所の初音は
「よっしゃああ!」
とガッツポーズ。
そこへ滝沢がやってきて、なにかやってるんですかと尋ねる。
「敗者復活戦や」
「だれが勝ったんです?」
「両方、勝っちや!」
両手を突き上げる初音。
「?」
気になる滝沢。

伝が得意そうに開けた肉じゃがのなべをのぞき込んで笑顔の一同>

うう。
きょうもきょうとて、たまらん…。
ずっと涙目。

おばあちゃんの
「よっしゃあ!」
よかったなあ。あかりに目配せして、伝さん似の反応を引き出す作戦もグッジョブすぎる。
「両方勝っちや!」
も最高。

岩崎先生が言った、トランペットの音がふくよかになったのはお好み焼き屋を始めたから、てのもこれだな。人の笑顔が見たい。その気持ちがますます強くなって、音にも現れる。

美咲ちゃんの寂しさは、単に放っておかれる寂しさではなく、自分が誰かの役に立ちたいのに立てないもどかしさだったのか。
でもそれはめちゃめちゃよく分かるな。
「役立たず軍団」の連中(^_^;)の気持ちもほんとに分かる。

月曜日にも書いたし、というかずっと同じことを書き続けているが、人はほかのだれかによろこんでもらうことこそが喜びだ。人はそのために生きている。
いわゆる意味での「役に立つ」である必要はない。有能である必要もない。
たとえば浜野社長も、「役に立とう」とがんばっているが、実は、栄治さんが「あまりしっかりしすぎないでくれ」というのも重要なのだ。「しっかりしていない」人は、それをサポートすることを喜びと感じる人を喜ばせるわけである。小夜子さんは自分がしっかりして浜勝を支えることが実は自分の喜びであるはずだし、その小夜子さんにいてもらえる栄治はやはり嬉しい。浜野が「しっかりしていない」からこそ栄治の「役に立つ」。

現実的な利益や損得しか見ないでいると、そういうことが分からない。

鉄平はあかりの足を引っ張っているように見えるが、あかりは鉄平の存在で確かに癒されている。

また自分語りになるが、私はいま、直接的に世話を焼いたり、気にかける相手を失ってしまった。そのことがたまらなく寂しかった。もともと私は「甘えられたい」志向なのである。わがパートナーはまさに頼りなさ全開だったが、だからこそ私にとってはかけがえのない存在だったのだ。もちろんそれは一歩間違えば、いわゆる共依存になってしまうわけだが…というか、すでにそうなってしまっていたので、それは終結せざるを得なかったのだ。
だがその直接の相手を失った今、私はむしろ、ちょっと格好つけすぎかもしれないが、なにやら「博愛」的な気分がしている。特定の相手ではなく、すべてを愛することができそうな気持ちになっている。そして以前よりむしろその点で満ち足りた気持ちになっているのだ。
こうなってしまってから、できるかぎり出会う人々に優しく親切にしようと心がけるようになった。無理しているのではなく、わりに自然にそう思える。お店の店員さんたち、レストランのウエイトレス・ウエイターさんたち、スポーツジムの受付のお姉さんお兄さんたち、ともあれ出会う人たちに、できるだけ目を見て笑顔を返す。もちろんはっきりと挨拶もする。ありがとう、という言葉はとりわけ大事に伝える。
先日、ここ何回か続けて参加しているエクササイズのクラスのインストラクターさんが初めて個人的に話しかけてくれた。なんかそれだけでもものすごく嬉しくなった。別にそこから恒常的な関係を期待しているわけではない。袖すりあう人であっても、笑顔を頂き、笑顔を返す。そして相手がさらに笑顔になってくれれば望外の喜びだ。
友人たちはもちろんのことだが、事務的な場面で出会う人々から笑顔をもらえると、ものすごく「得した」気になる。
妙な人生訓になってしまうが、今なにかむしゃくしゃしたり、難しいことに直面している人たちに心からお勧めする。知らない人たちに笑顔で「ありがとう」と声をかけよう、ということ。

ちょっとドラマからまた脱線してしまったかな。
でも本当に毎日嬉しい。放送を見て嬉しく、そしてあらすじを書き起こしていてまた嬉しい。
頂くコメントもめちゃめちゃ嬉しい(個別のお返事がさすがにしきれなくて本当にごめんなさい)。

そういえば笹井さんの絵は本当に素敵だったな。絵とかはあまり分からない私だけれど、あの絵は欲しいな。壁紙とかにダウンロードできるようにしてくれないかな。レプリカでも売ってたら買うかもしれないな。
posted by おーゆみこ at 13:55| Comment(1) | TrackBack(0) | てっぱん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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